月と太陽
わたしは何年ぶりかに誕生日をお祝いしてもらった。

途中でお父さんが帰って来た。

どうやら、わたしの誕生日を祝うために、今日はカウンセリング予約数を減らし、早めに帰って来られるしてあったらしい。

みんな揃ってのお祝いに、少し照れくささもあったけれど、素直に喜べる自分がいた。

しかし、ケーキにロウソクを立てて、ふぅ〜っと吹き消すのは、やっぱり照れくさかったけれど。

「しずく、これはわたしと涼からよ」

亜利沙はそう言って、ピンクの包み紙にくるまれた大きな箱を差し出した。

「ありがとう」

包み紙を丁寧に外し、箱を開けてみると、中には温かそうなムートンコートが入っていた。

「北海道の冬に適したコート持ってないでしょ?いつもあたしのコート着てるんだから」

亜利沙はそう言うと、優しく微笑んだ。
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