月と太陽
「匡人と涼は、タケルの考え事を知ってるの?」

わたしがそう訊くと、匡人が「まぁな」と答えた。

少し悔しかった。

わたしは、何も知らないからだ。

「タケル、どうしたの?考え事って、何?」

「俺たちの口から言えることじゃない。タケル本人に確認すればいいんじゃないか?」

落ち着いた口調で涼が言った。

今すぐにでも訊きに行きたかったが、もうすぐ昼休みも終わってしまうし、1人になりたがっているタケルを探しに行くのも気が引けて、知りたい気持ちを抑えた。

タケルが教室に戻って来たのは、5時間目の授業が始まる直前だった。

何だか思い詰めたような表情をしていて、タケルのことが気になり、授業など一切耳に入ってこなかった。
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