月と太陽
「もちろん、アメリカで勉強したい気持ちはある。けど…、そうなると、しずくを置いて行かなければならない」

タケルはそう言って、ガクッと首を落とした。

わたしを置いて行く…?

「しずくのことを想うと、なかなか決断出来ないんだ。来週の進路相談までに決めなきゃなぁ…」

そう呟くタケルに、わたしは駆け寄って後ろから抱きついた。

タケルの考え事がわかった今、黙って聞いていることが出来なかったのだ。

「しずく…」

涙が溢れてきた。

タケルが居なくなってしまうかもしれない。

そう思うだけで、寂しくて悲しくて、涙を抑えることが出来なかった。
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