月と太陽
わたしたちは同じバス停で降りた。

バス停から2〜3分のところにわたしの家がある。

タケルは、家の前までついて来てくれた。

「じゃあ、また明日な」

スッと手を上げて、タケルは微笑む。

わたしは彼に向かって小さく手を振った。

タケルはポケットに手を滑り込ませ、背を向けて歩き出す。

少しの間、その後ろ姿を眺めてから、わたしはアパートの階段を上がった。

スクールバッグの小さいポケットに手を突っ込み、家の鍵を手探りで探す。

鍵を開けドアを開くと、寂しい空間がわたしを迎えた。

自然とタケルの笑顔が頭の中に浮かんでくる。

さっきまで聞いていたあの笑い声が、なぜか懐かしく感じた。
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