月と太陽
開いたドアからは清々しい風が入り込む。

薄暗かったせいか、やけに日差しが眩しく感じた。

「ここ、屋上?」

わたしがそう聞くと、タケルは小さく頷いた。

「俺ら、いつもここで昼休みを過ごしてるんだ」

「俺ら?」

タケルについて行くと、誰かの声が聞こえてきた。

ドアの陰になって見えなかったが、そこには匡人と涼、それから梨子もいた。

「おっ!来たな〜」

匡人がそう言ってニヤリと笑った。

涼も歓迎をしてくれている様子だったが、梨子だけは無表情で冷めた目でわたしを見た。

「いらっしゃい。ほら、座りな」

涼が自分が座っていたベンチを空けてくれた。

わたしは「ありがとう」と、その場所に腰をかけた。
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