月と太陽
玄関を覗くと、そこには小太りでどこにでもいそうなおじさんが立っていた。

「はじめまして」

おじさんは笑顔を浮かべて言った。

わたしは、どういう反応をしたらいいのかわからなくて、小さく頭を下げ「はじめまして」と返した。

どうやら、このおじさんがママの恋人らしい。

この家のすぐ近くに住んでいると言っていた。

おじさんは、引っ越しの片付けの手伝いに来たようで家に上がり、ママの言われる通りに動いていた。

時折、ママとくっつくような姿が見えて、それが嫌でわたしは部屋の扉を閉めて片付けをした。

楽しそうなママとおじさんの声に耳も塞ぎたいくらいだった。

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