月と太陽
「しずくちゃん、何か食べたい物はない?少し太らなくちゃね」

エプロンをしながら、タケルのお母さんは言う。

リビングに通されたわたしは、フカフカのソファーに腰を落ち着かせた。

「あ、気にしないで下さい。わたし、お腹空いてないので」

本当にお腹は空いていない。

ただ、キリキリと痛むくらいだ。

「そう?じゃあ、お粥がいいかしらね。ちょっと待ってて、すぐ作るから」

そう言って微笑むと、タケルのお母さんはキッチンへとスタスタ歩いて行った。
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