月と太陽
「すぐ作るから」と言う言葉通り、本当にすぐお粥が出てきた。

小さい1人用の土鍋に入ったお粥が湯気を立てている。

その横には、小皿に梅干し一粒と高菜が添えられていた。

「ただのお粥だけど、良かったら食べてみて?」

にっこり笑って、タケルのお母さんはわたしの隣に腰掛けた。

そして、レンゲでお茶碗にお粥をとってくれた。

「どうぞっ」

わたしは差し出されたお茶碗を両手で受け取った。

用意された木製のスプーンを手に取り、少しだけお粥をすくう。

2、3度息を吹き掛け冷ますと、それをそっと口に運んだ。
< 58 / 267 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop