月と太陽
匡人はわたしの荷物を担ぎながら、リビングへ続く廊下の途中にある階段を上って行った。

わたしは階段下でその後ろ姿を見上げた。

「おかえり」

声がして、声の方を向くとタケルが立っていた。

「こっちへおいで」

そう言って、タケルは階段を上り始める。

わたしの脇腹を突つく梨子がニヤリと笑った。

わたしは突かれた脇腹を押さえ「やめてよぉ」と言うと、階段に足をかけ、タケルのあとをついて行った。

横に広い階段の壁の途中途中には、幾つか写真が飾られていた。

どれも幼い男の子と女の子の写真だ。

クリッとした大きな瞳の色白の男の子と、茶色い瞳の女の子。

すぐにタケルと亜利沙だとわかった。

階段を上り切ると、廊下が左右に分かれている。

タケルは、その右側に進んだ。
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