月と太陽
「飾りつけはどうだ〜?」

入口の赤いビニールテープを裂いて作った暖簾から顔を出したのは、匡人だった。

匡人は外に出て来て飾りつけを見ると「いいじゃ〜ん!」と親指を立てた。

「中の方はどう?」

わたしが訊くと、匡人は手のひらを上に向けて手招いた。

中へ入って行く匡人に続き、ビニールテープの暖簾をかき分けて中を覗く。

真っ暗な教室を赤や緑の照明が所々を照らしていた。

本格的な雰囲気に背筋がゾッとするのを感じた。

「なかなかの出来だね…」

顔を引きつらせてわたしが言うと、匡人は満足そうに「だろ?」と言った。
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