月と太陽
タケルの返事を待つと、壁が鳴った。

コンコンコン

3回鳴った。

「そっちに行ってもいいか?」を意味している。

Yesなら1回鳴らし、Noなら鳴らさない。

わたしは、コンと1回鳴らした。

それからわたしはベッドから下りて、ドアの方へ駆け寄る。

タケルが来る。

そう思うと、胸が高鳴った。

タケルからのノックを待ち切れず、少しだけドアを開けて見る。

ドアの隙間から、すぐそこに立つタケルの姿が見えた。

タケルはわたしを見て、少しだけ笑う。

タケルの方から見るわたしは、可笑しく見えているようだ。

ドアの隙間から覗いているんだから、笑うのも無理はないかもしれない。
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