月と太陽
ネックレスをつけ終わったのか、タケルが少しだけ離れて、わたしの髪に触れる。

更にもう一歩下がると、わたしの胸元を見て微笑んだ。

「うん、母さんの言った通り。似合ってる」

わたしは鎖骨あたりに手を触れた。

チェーンがあり、それを伝って下へ指を滑らせる。

三日月が指先に触れた。

「その石、ムーンストーンっていう石なんだ。心を癒す力を持ってるらしい」

タケルは腕を組み、ネックレスを身に付けるわたしを眺めて満足そうに微笑んだ。

気のせいかもしれないけれど、三日月に触れていると、普段怠く重たい身体がスッキリしたように感じる。

これがムーンストーンの力だろうか。
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