spiral "eternal"
不思議と中は寒くはなかった
恐らく、この氷は見かけだけで本物ではないのだろう
周りが氷で囲まれた洞窟を進み、少し広い空間に出る
その奥に、より一層デカイ氷の山が俺達を迎えた
その氷のある部分
氷の…奥の奥に存在する、人影
「…!」その人影を見た瞬間、亜未は目を見開いた
「だ、いち…。」
氷の中で、瞳を閉じて
幸せそうに眠る少年
彼が…杉浦大地
「大地…大地!!!」
亜未は一目散に走り出す
ガンガン、と杉浦大地を囲む氷を叩いていた
「離れろ、亜未。」渚のその言葉が聞こえた瞬間
亜未はゆっくり氷と距離を取る
「…'鬼火'。」
渚から発せられる炎
炎は氷を包み込むが、周りの氷も全く溶ける気配はない
「…やっぱ、ただの氷じゃねぇか…。」
「無駄じゃ。その氷は全ての魔法…いや、全ての攻撃を跳ね返す。外部からの破壊は不可能じゃ。」
「じゃあやっぱり…鍵は春って事ね…。」