spiral "eternal"


「うわっ!」声に驚いて飛び起きると


俺の様子に笑っていた葵の姿があった


「葵…何でここに?」


「少し眠れなくて。春こそ、明日は大事な任務なのに眠らなくていいの?」


葵の問いに、「俺も眠れなくて。」と苦笑いを浮かべた


俺は一人占領していたベンチを座り直し、一人分のスペースを空ける


そこに葵は腰かけた


「ついに明日だね。明日…この世界の運命が決まる。」


「…あぁ。」少しドキッとして、反応が遅れた


その瞬間を、葵は見逃さなくて


「…春、やっぱり悩んでるんでしょ?」


「!?」葵の言葉に、俺は動揺を隠せなかった


「來ちゃんから春の能力を告げられてから…様子がおかしいとは思ってたんだ。それに、春から不安な気持ちがすごく伝わって来た。」


「…そっか、葵には分かるんだっけ。」


葵は千里眼の能力者


意識して視なくても、彼女には伝わっていたのかもしれない



「勝手に心を覗いてごめんね。だけど、そんなに自分を責めなくてもいいんだよ?」


「…え?」


自分を、責める…?


「考えてるんでしょ?もし自分がちゃんと能力を扱えていたなら…柚子ちゃん達を助けられていたんじゃないかって…。」







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