spiral "eternal"
「…。」図星過ぎて、俺は言葉が出なかった
葵はそれを肯定と受け取ったらしい
「能力を最初から扱えるなんてみんな出来ないよ。特に春は目覚めたばっかだったんだから。こんなに早く自分を能力者だって受け入れたのも凄いくらいだよ。」
「…葵は、自分が能力者だって受け入れられなかったのか?」
俺も、能力者だって分かった時は凄い悩んだし、stayには結構迷惑かけた
けど、葵は俺以上に悩んだってこと…?
「…私が初めて他人の心を読めるようになったのは、七歳のとき。いきなり、友達の心の声や街の人たちの気持ちが勝手に自分の中に入り込んできたの。」
…それって…
「もちろん、聞きたくないことも全部ね。」俺が言う前に、葵は自分でそう付け足した
「私は自分が怖かった。皆の本当の気持ちを知るたびに、人を信用出来なくなった。誰にも相談出来ずに、部屋に閉じこもって…。そんな生活が何年か続いたとき、学園から招待状が届いたの。」
葵の気持ちはもっともだ
いきなり、他人の心の声が聞こえてくる
きっと、辛い言葉や負の感情もたくさんあっただろう
「招待状が届いて、自分が能力者だって分かった。けど、能力者になるってことは、今まで過ごしてきた生活を全部捨てることなの。
家も、友達も、街も…ずっと過ごしてきた時間を全て失う。そう思って、私は学園から逃れる為に家を飛び出したわ。」
「へ!?」あまりの行動に俺は驚きを隠せなかった
この葵が…家を飛び出す?
「意外だった?」
「そ、そりゃあ…。直ならやりかねないけど、葵がそんな大胆な事するなんて…。」
想像出来ない
葵はいつだって冷静で、俺達の事を見守ってくれていたから…
「学園に行くって事は、自分が能力者だって認めると同じ事だからね。私はどうしても認めたくなかった。この生活を、捨てたくなんてなかった。
けど、思いっきり能力を使ってたけどね。皆の心の声を聴けば追手を退く事なんて簡単だったから…結果的に二か月くらい逃亡生活を続けたよ。」