spiral "eternal"
に、二か月…
葵は笑いながら話しているけど、俺には笑う事なんて出来ない
この葵が二か月も逃亡生活を繰り広げていたなんていまだに信じられないし
信じたくもないかもしれない
「学園に入ってからも、私は自分の能力が大嫌いだった。人の心が読めるなんて、何の役にも立たなかったし嫌な事だらけだったし…。
けど、夾がある日言ってくれたの。」
ーーーあの時、お前が魔物の気配を察知してくれたおかげで無傷で任務を終われた。お前の能力のおかげだよ、ありがとうーーー
まだあどけない少年だった夾が、笑みを浮かべてそう言ったと、葵は話した
「夾が…笑みを浮かべてお礼?」
「そう、今じゃ信じられないでしょ?この時から夾はすでに戦闘狂でね、年下のくせにこんな偉そうな事言ってきたんだよ?」
…葵と夾って何歳差だっけ?
とにかく、夾がすごい幼い少年だったことは間違いない
そんな頃から夾は戦闘狂だったのか…
「だけどこの夾の言葉で私は救われた。今まで嫌っていた能力が、誰かの役に立つこともあるって分かったから。私は柚璃みたいに怪我を治す事は出来ないけど…違う方法で、皆を護る事が出来る。
その為に、私は能力者になったんだって。」
ーーー誰かを護りたいって気持ちは、人も能力者も一緒だろ?---
そうだ…そう倉崎に言ったのは
俺だったのに…
「能力者だって受け入れてからは、今までが嘘みたいに自分の能力を扱えるようになった。それと同時に、皆を護る事が出来るって思えてとても幸せだった。
春だって同じだよ。春の能力は…春の大切な人を護る事が出来る立派な力じゃん。」