spiral "eternal"

俺の、大切な人を護る事が出来る…


「けど、思うんだ。俺がもっと能力の正体に気づいていれば、皆を危険に晒す事もなかったかもって…。」


俺がもっと早く能力に目覚めていて、能力者だと受け入れていたなら


離れていく柚子の手を、掴むことが出来たかもしれないのに…


「…。」そんな俺の様子を見て、葵はポケットから何かを取り出した


「春、手だして?」そう言われて、俺は何かわからないまま右手を出す


手に置かれたのは…一つの輝石


「これ…。」


「うん、私の輝石。必要ないかと思ったんだけど、保険の為に一応ね。」


「?」首を傾げる俺に、葵はニコッと笑った


「今から春と私の能力で…囚われてるクラスメートと交信しようと思うの。」


「…え!?」


こ、交信!?


クラスメートって…柚子達と?


「前に何度も試したんだけどね…強い結界が張られていて、私だけの力じゃ中を覗く事も出来なかった。だけど、輝石だけじゃなく春の能力も加えたら…もしかしたら結界をすり抜けることが出来るんじゃないかって…。」


「…。」


葵が、前から柚子達と繋がろうとしてたなんて…


そんな事、何にも知らなかった


「自分の力を信じて、春。春の能力はきっと…大切な人たちと繋がってくれる。」


俺の、能力が…


少し不安が残っているけど、俺は葵の輝石をぎゅっと握りしめた


柚子…柚子…


心の中で唱えながら


俺は目を閉じた




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