spiral "eternal"





重い空気が教室中に漂っている


毎日使っていた机や椅子は、教壇の近くに積み上げられ


窓ガラスは割れている筈なのに…外から風は入ってこない


完全密室


そんな中…クラスメート達は皆後ろの方で固まりながら力なく座っていた


どれ位、ここで時間を過ごしたのだろう



あの日、途轍もない地響きと共に悪夢は始まった


初めは皆抜け出そうと、ドアをこじ開けたり窓からの脱出を試みたり、色んな手段をとった


だけど…すぐに悟ってしまった



私達は閉じ込められていると



私達は…逃げられないのだと


「…大丈夫、柚子?」


隣に座る雫が心配そうに顔を覗き込む


「…私は平気だよ。」不安な心を見られないように、私は無理矢理笑顔を作った



本当は、皆怖い


私達を閉じ込めているのは、きっと能力者で


私達を、殺すつもりなんだって


死んじゃうんだ、って皆分かってる


分かっているからこそ、目の前には絶望しか見出せない


希望はもう…消えてしまったのだから…



『柚子…。』










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