夏の桜が咲く。
実家に帰ってきた。
「ただいま」
「梨桜おかえりなさい」
神妙そうな顔をするお母さんとお父さん
私がなぜ毎年
この日に帰って来るか知ってるからだ
私は自分の部屋に行き
画材を探した。
今年は油絵にしよう。
そう思って準備を始めた
「香織ちゃん達には会ったかね?」
「ううん。今帰って来たもん」
「今年は泊まらんのかな?」
「うん。明日仕事だから」
「そうか…」
「また改めて来るから」
そう言うと二人の顔が
明るくなった
「待ってるよ」
「うん…」
出来るだけ…来れるようにしよう。
画材の準備は完了した
すると
ピンポーン…
玄関のチャイムがなった
「おじゃましますっ」
ん?香織
何年たっても分かるその声
勢いよくドアを開けた