とある王子(兄)が引きこもりの姫(妹)を愛する(復讐する)話
王子と姫と弟と
「...え?」
俺の弟(次男)の祐樹から突然差し出されたのは、15歳になったばかりの妹と知らない30代半ばくらいのおっさんがキスをしているプリクラだった。
しかも、一枚ではない。
正直、嫌悪感しかわかない。妹の胡桃が学校に行かずに出会い系サイトに登録し、いろんなおっさんとメールしているのはしっていたがまさかここまでしているなんて思わなかった。
2年前から学校に行かず、高校にも初日に行ったきりだ。毎日部屋にこもりだらだらと携帯をイジり、知らないおっさんたちとメールをする日々を送っている妹に家族全員が手を焼いているというのに。
当の本人は気にする様子を見せることなく、悪化していく一方。
「とりあえず母さんに報告しようぜ。」
祐樹は可笑しそうに笑ったあと、スマートフォンを出した。今の状況を一番楽しんでいるのはコイツに違いない。
俺は「キモい」と一言呟いたあと、気にしない素振りをしてテレビに視線を向けた。はっきり言って関わっても無駄だし、関係ないという態度を見せると祐樹はつまらなさそうに「おもしろくねーの。」と言いソファに寝転がった。
最初のうちは、俺もどうにかしなきゃと思っていたが2年も手を尽くして結果変わらないのならどうでも良くなってくる。それぞれの人生だし、こちらに迷惑をかけないのなら勝手にしていろと思うようになった。
だから俺は、これからも無関心でいようとおも「なあ、胡桃のLINEの画像、これ兄ちゃんの女装グッズ使ってない?自撮りっぽいけど。」「...は?!」「あー、あとこないだ兄ちゃんのエロ本勝手に拝借してたよ。」「あれ友達が置いてったやつなんだけど...どーりでないと思った。」「兄ちゃんがいないときに勝手に部屋に入ってるっぽいし。」「お前なんでそんなこと知ってるんだよ。」「こないだ胡桃の部屋に入って色々漁ってみたからわかるのー。」
「...。」
心底楽しそうに告げる祐樹。ふつふつと怒りがこみあげてくる俺。現在部屋にひきこもり出会い系を楽しんでいるだろう妹。
「俺、自分のモノ勝手に使用されるの嫌いなんだよなぁ。」
「うん、知ってるー」
「ちょっと注意してくるわ。」
「めーずらし。行ってらっしゃい。」
とりあえず、怒りをおさえて注意してこようと思う。
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