とある王子(兄)が引きこもりの姫(妹)を愛する(復讐する)話
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それから淡々と授業が進み、あっというまに休憩時間になった。胡桃は授業中、教科書やノートを開くことなくじっと黒板を見つめているだけだったけど、学校に来ただけまだいいかなと考える事にする。
「あのぉ。」
突然声が聞こえてふりむけば少しだけ頬を赤くして恥ずかしそうに俺を見上げる女子生徒が居た。
「ん?」
「川中さんのお兄さん、ですよね?」
「うん。そうだよー。」
「あの、彼女さんとかいらっしゃるんですか。」
「今はいないよー、どうして?」
「いや、別にッ、ちょっと気になっただけです!ごめんなさい!」
ばっと勢いよく頭を下げて女子生徒は友達の輪に戻っていた。「きゃー喋っちゃった!」「いけめん!」とかいう声が聞こえて思わずニヤける。
女子高生にまでモテるとかさすが俺!
少し自慢げに鼻歌を歌えば、胡桃から鋭い視線が向けられた。黙れということだろうか。
まあ、気にしないけど。