とある王子(兄)が引きこもりの姫(妹)を愛する(復讐する)話
キ、と鋭い目つきで俺を睨んでくる祐樹はやはり反対らしい。もめたくないし、これ以上余計な事は言わないでおこうと思い口を綴じた。
「...兄ちゃん。」
数分後、祐樹が俺を「兄ちゃん」と呼び沈黙を破った。祐樹が俺のことを兄として呼ぶときは、たいてい何かがあるときだ。
今のタイミングで俺を兄ちゃんと呼んだのは、きっと、今俺がしている事は本当に妹の胡桃に対してする事かもう一度考えさせる為だろうな。
「兄ちゃん。」
もう一度、今度は力強く俺を呼んだ。
「はぁ、うざいよ祐樹。」
「ッなんだよそれ!!もういい!勝手にしろよ!」
祐樹はそう叫ぶと俺の部屋を出て行った。
精々、祐樹は胡桃の為に動けばいいんじゃないかな。胡桃は、祐樹と似たような道を自ら選択して歩んでいる屑だから、今の胡桃に祐樹が何かをしても何も変わらないとおもうけどな。
俺はスマホのチャット画面を見て、二人目の胡桃と関わりのある人物「ムシ」からの
今度会わない?
という内容に いいよ と一言だけ返信を送った。