とある王子(兄)が引きこもりの姫(妹)を愛する(復讐する)話
俺はノックすることなく胡桃の部屋に入った。予想通り、部屋着のままで携帯を触っている妹の姿が目に入る。
「胡桃。」
できるだけ普通の声音で名前を呼べば、妹は視線を一度こちらに向けた後再び元に戻した。
「お前、俺の私物勝手に使ってるらしいな。ずっと部屋にこもって変なおっさんとメールしてんのが楽しいのか?」
胡桃の手が止まり、固まった。視線は俺にうつることなくじっと携帯の画面を見ている。話はきいてはいるようだ。
「...学校に行けない理由があるなら俺は行かなくてもいいとおもう。でもな、理由なしで部屋でダラダラしているだけなら携帯を解約するからな。どっちにしても、母さんにちゃんと話して説明したらどうなんだ。
それに、やることやってるんなら、百歩譲って出会い系をすることはいいといもうよ。けれどそれは自分のためになってんのか?
上辺だけ良く見せても何も意味ねーし。誰かに認められたい、見てもらいたいと思うなら中身から変われよ糞ニート。
少しでも変わらなきゃいけないと思うなら明日学校に行けよ。」
「...。」
出会い系の事を俺に知られていたのが吃驚したのか、はたまたずっと無関心を貫いてきた俺がここまで言ったことに衝撃を受けたのか、一点を見つめたまま動くことはない。
言うだけのことはいったし、これくらいでいいだろうと思い俺はしずかに部屋をでた。