とある王子(兄)が引きこもりの姫(妹)を愛する(復讐する)話
「...本気でこえぇよ。」
「何所が。」
「いやー、全部。」
「まっとうなやり方は通用しないって、祐樹もわかってるだろ。」
「うん、わかってるけど。でもそれ、胡桃にバレたらどーすんの。」
「バレてもいいよ。普通なら、バレたら焦って、出会い系を控えるようになるだろ。危機感をもてば今より考え方は変わる。...俺とは、一生口聞いてくれなくなるだろうけど。」
それでもいいし。と涼しげな表情でスマホの画面を見つめて、相手に媚を売るような想ってもいない言葉を打ち込んでいる王子は怖い。
「王子のやり方は見ている分には面白いけど...。」
「なら、祐樹はこの状況どうにかできるのか?」
挑発するような声音に、少しだけイラっときた。何年も手を尽くしてきた、けれど変わらないから今の状況に陥っている。痛い程わかっているし、どうにかしたいとも思う。胡桃には、俺みたいになってほしくないから。
「...どうにかする。」
気づいたら、そう言葉を漏らしていた。
「ふうん。なら頑張れば?」
おこっているわけではないんだろうけど、俺には冷たい言葉に聞こえた。
「うん。」
力なく頷き、王子の部屋を出る。
明日は丁度バイト休みだし、久し振りに胡桃を部屋から引っ張り出してみようかな。