イジワル王子と屋根の下




ー…



眠気と熱とでぼんやりと開いた視界には
見慣れた天井。



(…今、何時…)



視線を向けた壁の時計は14時を指していて、結構な時間自分が寝ていたのだと気付く。



「……」



微かに開いたドアの隙間から漂うのは、何やら食事を作ってるらしいいい匂い。



(…あいつ、居るのか)



―ガチャ、

「瞬、おじや作ったけど…あ、起きてた?」

「あぁ、今」

「さっきより顔色いいけどまだ熱ありそうだね」



そいつ…梨沙はそう近付いてきて俺の額へ手を当て熱を計る。



「……」



水に触れていたのか、ひんやりとするその体温。

女らしい、小さな手



< 103 / 268 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop