イジワル王子と屋根の下



「…そこの引き出しからシャツ取れ」

「どこの引き出し?」

「…いい、自分でとる」



…まぁ当然俺の部屋の洋服ケースの位置などそいつには分かるはずもなく、けれど細かく説明するのも面倒臭い。ならばと自分で体を動かした…が

やはりまだ本調子ではない体は、立ち上がろうとするもののガクンと力が抜けた。



「あ…」

「わっ…」

ドターンッ!

「っ…」



勢いよく梨沙の方へ倒れこんだ体。それは気付けば、俺はその体を押し倒す形で倒れていて…



「……」

「……、」



目の前には触れそうなほど、近いその顔。




< 109 / 268 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop