イジワル王子と屋根の下
「瞬っ…」
「…、」
あんまり引っ張ると怒られるかもしれない。そう思うもののそれより迷子になる方が恐ろしい私は、待って、そう伝えるように必死に裾を引っ張る。
すると瞬は、その手をつなぐように握った。
「……」
包み込んでしまうくらい大きな、手。
その感触に、体温に
「瞬…?」
「…服、伸びる」
「……」
「迷子になられても面倒くせぇし、置いて行くのも…面倒くせぇ」
「…うん」
「だから、今だけ」