イジワル王子と屋根の下



(ピーマン嫌いなんて…子供みたい)



こんな偉そうな俺様の癖に…。

思わずこぼれる笑いを我慢しながら、私は買い物を続ける。



「あれ?亀戸さん?」



するとその時、瞬の名前を呼ぶ声が響く。



「?」



振り向くと、そこにはスーツ姿の男女が4、5名驚いた顔でこちらを見ていた。そのうち一人は先日瞬とお店に来た女性だ。

ってことは…瞬の会社の人たち?そう思いながら視線を瞬の方へと向けると



「あっ、皆お疲れ様。こんな所で奇遇だね」

「……」



案の定その顔は、にっこりと爽やかな笑みを浮かべている。

ついさっきまでピーマンを入れるなと怒っていた人と同じ人物とは思えない。



(…本当、この変わり身の早さだけは尊敬するわ)

その姿に思わず苦笑いがこぼれた。




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