イジワル王子と屋根の下
「…先にオフィス行ってます」
「おー」
表情を隠すように、俺は足早に休憩室を出る。
ーバタン、
「…珍しいー、今亀戸さん笑顔じゃなかった…」
「あいつ、照れると無愛想になるタイプなのな」
「ガキなんだよなぁ、案外」
気持ちの正体を自覚した途端、真っ赤に染まる頬。
「…、…」
あぁもう、何でだよ。
何で、あんな女に、あんな犬に
(…惚れるとか、ねーだろ)
ありえない
ありえるわけがない
素直に認めることなんて、出来やしない。