イジワル王子と屋根の下



ー…



「では、先月の売上を祝して…乾杯ー!」

「乾杯ー!」



その夜、職場のデパートの近くの居酒屋の一室では、その声とグラスを合わせる音たちが響く。

責任者である大野さん率いるうちのお店は、パティシエの男性陣から販売員のパートのおばさん達、そして私や宮本さん達新人…と、幅広いスタッフ構成の明るい職場。

そんなみんなでの飲み会は、当然とてもにぎやかだ。



「水谷さん、ちゃんと呑んでる?」

「はい!酎ハイですけど」

「ほら食事きたよー、若い子も遠慮しないで食べてね」



右隣には宮本さん、左隣には大野さん、そして向かいには販売員歴6年のベテランパートのおばさん・菊間さんに挟まれ私はグラスに入った酎ハイを飲む。



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