イジワル王子と屋根の下



そうぐしゃぐしゃと髪をかいていると



ーピンポーン、

「…?」



突然鳴ったインターホンの音。



(こんな時間に誰だ…?)



ロビーのカメラのスイッチをオンにすると、そこにパッと映されるのはぐったりとした様子の梨沙とその体を支えるように肩を抱く若い男。



「…!?」

『すみません、水谷梨沙さんの職場の者ですが…』

「…今行きます」



その姿に急いで部屋を出て、下のロビーへと降りた。

(何やってるんだよあいつ…)



「すみません、お待たせしました…」

「しゅんん~…」

「うおっ!!」



すると駆け寄った俺に梨沙はいきなり、勢いよく抱きついた。

フラフラしている足元に、漂う酒の匂いから相当呑んできたのだろう。




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