イジワル王子と屋根の下
「すみません、水谷さん飲み過ぎてしまったみたいで…」
「いえ、こちらこそすみません。わざわざ送って貰って…ありがとうございました」
(…歳は俺と同じか少し上、って所か)
爽やかそうな顔しやがって…そう思わず一瞬ジロ、と見る俺にその男はにこりと笑っては小さく会釈をする。
「水谷さんの彼氏さんですね。初めまして、水谷さんの職場の責任者をしてます大野です」
(…彼氏?)
どうせ変に誤魔化したりして俺が彼氏って話になってるんだろ。誰が彼氏だ、誰が!
そう思いながらも面倒事を避けるべく否定はせずに、梨沙の体を受け止めながら会社用の営業スマイルで話す。