イジワル王子と屋根の下
…な…何だあの野郎は…!!!
俺が言うのも何だが、爽やかそうに見えて相当したたかと見た。
つーか何だよ!奪われるとか逃げられるとか!
そもそもこいつは俺の彼女でもなければ何でもっ…
「…もうのめないい〜…」
「……」
むにゃむにゃと言いながらこちらへ体重を乗っける梨沙に、俺は舌打ちをして仕方なくその体を部屋へと連れて行った。
(クソ、この酔っ払い女め…)
『大切にしてあげたほうがいいんじゃないですか』
何で俺がそんなこと、こいつにしてやらなきゃならないんだよ。
奪われる?逃げられる?…そんなの、こいつの勝手だ。
どこかいいものがあるなら選べばいい。
別に恋人なわけじゃないんだし、勝手にしろ。
そう、思うのに
「…んう、ふふ〜…」
「…バカ犬」
穏やかでは、いられない気持ち。