イジワル王子と屋根の下



「だ、だって…シャツに口紅ついてたし」

「満員電車乗って帰ってくればそれぐらいつくだろ。つーか、ついてた?」

「それに、素っ気ない態度とるし…」

「…あれは、別に。何でもねーよ」

「じゃあ、彼女は…」

「女いたらお前なんかと住まないだろ」



そう呟いて、その手は私の頭をペチッと軽く叩いた。



「……」



じゃ、じゃあ…

全部私の勘違いで、彼女もいなくて…



(…そっか…)



一気に込み上げる、安心感。



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