イジワル王子と屋根の下
7.犬とさよなら
淡い期待
彼は嘘やお世辞が、嫌いな人。
だからこそ
『お前みたいな奴は嫌いじゃない、って思う』
あの言葉が本心なのだとしたら
(…嬉しい、な)
思い出す度、心は温かくなる。
好き。
瞬のことが、好き。
そう自覚した気持ちは、止まることを知らない。
「ねぇねぇ、水谷さん!」
「?はい?」
そんなことを考えつつ、仕事に励む平日の昼。ケーキを綺麗に並べる私に、隣で宮本さんが笑う。