イジワル王子と屋根の下
…まぁ、この前のことは私もびっくりした。
だってあの瞬が、自分からお店にきて彼氏だって言ったりして…。
『誘われたからってついていこうとして』
…しかもあんな言い方じゃまるで、心配してくれたのかな、なんて。
(自惚れちゃう、よ)
「水谷さん、客空いてきたから休憩入っていいよ」
「あっ、はーい!」
そう話しているとかけられた大野さんからの声に、私はすぐさま休憩へと向かう。
「お先に休憩いただきまーす」
「うん、ごゆっくり」
そして裏へと入り何気なしに携帯を見れば、そこには着信履歴が一件。
(…?)
画面には『大家さん』の文字。