イジワル王子と屋根の下
ここ数日、細々と進め出している荷造り。物音を立てぬように静かにまとめた荷物も、この箱に入れる分で最後。
明日私は、この部屋を出る。
(…瞬には、言ってないけど)
短い期間だったけどお世話になったわけだし、挨拶くらいするべきなんだろうけど…今の私には、多分無理。
顔を見て話したら、きっと泣いてしまうし、また出て行きたくない気持ちがこみ上げてしまう。
(…揺らがない!ダメ!)
そう段ボールの中に詰めて行く荷物。