イジワル王子と屋根の下



あれから半月、結局引っ越しの話はなくなり私達はそのまま二人暮らしを続けている。



けど正直、恋人らしいことは何もない。

相変わらず瞬は意地悪だしドSだし、好きだなんて言ってくれたのはあの日一度きり。



(…土下座しろ、なんて普通彼女に言う言葉じゃないよねぇ…)



ミスをした自分が悪いとはいえ、がっくりと肩を落としてしまう。

キスは、まぁ…時々、ほんの時々するけどそれ以外は何もなく…毎日二人でいるというのに、甘い空気には程遠い。



(私と彼は本当に付き合っているんだろうか…)



思わずこぼれる溜息に、私は包んだお弁当を瞬へ手渡す。



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