イジワル王子と屋根の下
「…、」
包んでしまうくらいの、大きな手。
ごつごつとした甲がまた彼を感じさせて
(…好き、だなぁ)
こんな仕草一つに、やっぱり好きだと実感させられる。
ここまで疲れているのなら、寝かせておいてあげよう。そう手をそっとほどき立ち上がろうとした、その時
「…雪乃…」
「……」
呟かれた、小さな声。
「…?」
今…『雪乃』って、言ったよね?
ゆきの、雪乃…って、
どう聞いても、他の女の名前…!!!