イジワル王子と屋根の下




「はいっ、どうぞ!」



そして、料理を始めて一時間が経った頃

テーブルに並ぶのは簡単ながらもボリュームのある肉野菜炒めと、炊きたてのごはん、それとなめこのお味噌汁。



「地域が違うから味が合うかはわからないけど…」

「……」


言いながらお箸を差し出す私に、彼は料理をまじまじと見ながら黙って席につく。



「いただきます」

「…いただきます」



そして黙々と、箸を進め出した。



「ど…どう?」

「味が濃い」

「うっ!」

「…けど」

「けど?」

「食えなくは、ない」

「……」



そんな褒めているのか微妙な言葉とは裏腹に、黙々と食べている姿。



(これは…悪くはないってことでいいのかな)



それにつられるように、私も箸を動かす。


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