イジワル王子と屋根の下
そう、それはそのまさかで。
春にあった一連の出来事を、まるで見ていたかのように言い当てる瞬に私は叫びながらその手からアルバムを奪い返す。
「どうりで男物の弁当箱や食器がペアで揃ってるわけだ」
「うっ…」
言った当の本人もまさかそこまで当たっているとは思わなかったようで、あり得ない、と言った顔で呆れながら笑う。
「彼氏に浮気されてフラれて…挙げ句に悪徳不動産に捕まるなんて、本当運が悪いにも程があるだろ」
「うるさーい!!」
「ま、仕方ねーよな。お前みたいな頭悪そうな奴、騙してからかったら楽しそうだし」
「!」
「つーか普通に考えて、わざわざ遠くの地元から本当に追いかけてこっちくるなんて思わねーって」
「……」
「ま、騙されたお前が男を見る目のない大バカ女だったってことだ」