イジワル王子と屋根の下



「…、」

「……」



抑えがきかず泣き続ける私に、瞬は何も言うことなく手にしていた乾燥したてのタオルを顔にぐいっと押しつける。



「わっ…」

「取りあえずその汚い顔拭け」

「汚…!?」

「つーかいい歳してビービー泣くな。しかも男に騙されて。アホらしい」

「そもそもは瞬がひどいこと言うからじゃん!!人がやっとの思いで立ち直ったっていうのにっ…」

「立ち直った?そんなアルバムも、男のための食器も捨てられずにここまで持ってきておいて?」

「…、」

「貸せ」

「……」



瞬はそう言ってアルバムを奪い、ガスコンロの炎で端に火をつけるとそのままテラスへと出る。



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