イジワル王子と屋根の下
「何言ってんのか知らないけど…何?勝手に人の家入ってきて」
「え?」
「不法侵入で訴えられたくなかったら、はい出ろ」
「あ…すみません」
そしてあまりにも冷静にしっしっ、と払われ私はついそのまま家を出る。
ーバタン、
「……」
あれ…
えー…っと、…あれ
手元の契約書には、このマンションの住所。『203号室』と書かれた部屋番号に、名前もきちんと『水谷梨沙』となっている。
そして目の前のドアにも『203号室』の文字。
建物も間違ってないはず。写真で見たのと外観もそっくり同じだし…。
「っ…いやいやいや!待った!ちょっと待ったー!!」
一度は追い出されたものの、我に返り私は再度ドアを開け部屋へと入る。