イジワル王子と屋根の下
テラスに出ることなく部屋の中からその光景を見つめていた私に、その手は不意に伸ばされぐにっと私の頬を掴む。
「なっなによいきなり!」
「アホ面」
「あんたがそうさせてるんでしょ!」
「いや、お前は元々アホ面。つーかアホ」
「は!?」
「だからアホはアホらしく、笑ってりゃいいんだよ」
「……」
それは、やっぱり無愛想な言い方。
だけど
やっぱり、込められた優しさ。
「…それと」
「…?」
「…言い過ぎた、悪い」
ぽつりと呟かれる言葉と共に手は顔から離され、彼は自室へと戻って行く。