イジワル王子と屋根の下
「何だよ。早く出て行かねーと警察呼ぶぞ」
「呼ばれる筋合いないんですけど!だってここ私の家だもん!」
「はぁ?」
私の言葉に、整った顔のその眉間にはシワが寄る。
「さっきから何言ってんだか…部屋間違えてるんじゃねーの?ここは203号室で、今日から俺が住む部屋だし」
「そっちが間違えてるんじゃないの!?ここは203号室で、今日から私が住む部屋だもん!」
「…おい、くだらねー嘘ついてんじゃねぇよ。こっちにはちゃんと契約書があるんだよ」
「こっちだって!」
そう互いにペラッと見せた紙には、全く同じ文章・同じマンションの住所に入居日・それぞれの名前・そして…『203号室』の文字。
「……」
「……」
えーと…
これは、つまり…その、
「…二重、契約…?」