イジワル王子と屋根の下
(こ、こんな発言瞬に聞かれたら絶対叱られる…)
夕暮れに染まる仕事帰り道、先程の会話を思い出し私は一人はぁ…と肩を落とす。
堂々と合コンを断れる理由に彼氏がいればさぁ!こんな悲しい嘘つかないよ!!
いやまぁ、いるならそもそもあのドSと住んだりしてないけど!!
心の中でそう嘆きながら帰ってきた家は、珍しく鍵が開いている。
(あれ…?)
ドアを開けて見れば玄関には脱いだままの茶色い革靴があることから、珍しく瞬が先に帰ってきているのだと悟る。
「ただいまー…」
一応呼びかけるように言ってみるものの、声どころか物音一つ返ってはこない。