『あなたが大好きです』
『西山君……あたしと別れて下さい』


えっ……?


「それ…本気?」

『うん…』

「また…良夜の彼女になるの?」


また……俺はあいつに…負けるのか…?


『ならないよ』

「どうして?」

『あたし…良夜に最低な事したんだよ?』

「でも良夜だって菜月ちゃんに!!!」

『そうだとしても、やっぱりこんなことしちゃいけなかったんだよ』

「!!」

『だからあたしは良夜を好きになる資格が無い…それにもう良夜にはいい人がいるんでしょ?』


菜月ちゃんは


泣いていた


俺は……間違っているのか……?


俺の復讐の為に…こんなにいい子が悲しんでいる


俺のせいで…っ


その瞬間


俺の中の何か黒いものが……消えた気がした


「菜月ちゃん」

『ん?』

「あいつ……まだ菜月ちゃんの事…好きだよ」


菜月ちゃんは少し驚いた顔をした


でもまた直ぐに笑顔になって


『西山君……優しいね』

「違う!!あれは全部嘘なんだ!!」

『ありがとう…でも…もう遅いよ…』

「どうして!?」

『だってあたし…最低な人間なんだよ?もしその話が本当だとしても…もっと良夜にはいい人がいる……』

「菜月ちゃん!」


どうしてだよ!!


どうして分かってくれないんだ!


『だからあたしは影から良夜を応援するの』


違う!そんな必要ない!!


『今までありがとね!じゃあ、バイバイ』


そう言うと…


菜月ちゃんは屋上から出ていった


「くそっっ!!!」


俺は何も言えなかった…


俺は……初めて実感した


自分のしたことの罪の重さに


引き裂いた物はもう二度と戻らない


どうしたらいい?


どうしたら……


「あ、」


まだ……あいつがいるじゃん


「なぁ良夜……そこに居るんだろ?」










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