そよ風の妖精
「はぁ??お前そんな冗談やめろよ~
縁起悪い…。」
渉は大きな口を開けて笑う。
本当に、それが冗談で言えたら
どんなにいいだろう。
「冗談じゃないよ。」
「おいおい。時雨までやめろよ。」
あたしは黙ってうつむく。
「まじ…かよ…な…なんでだよ!?
なぁ!!いつ死んだんだよ!?」
「お前が転校してすぐだよ。」
「そっか…」
信じられないのだろう
さっきまでの勢いがなくなってしまった
「ごめん!!!」
あたしは耐え切れず教室を飛び出した。
「「時雨!!!」」
あの時の記憶がよみがえる。
「やば…きもちわる…」
いつもそう。思い出そうとすれば
吐きそうになる。
過去のことなのに、忘れたいのに
忘れられない。
「耳鳴りしてきた…」
悠ちゃん…助けてっ…
声が出ない。
あたしはそのままその場に倒れた。