そよ風の妖精
そんなこんなで、あれから
一時間、やっと山のように
積み重なったプリントを
終わらせ、教室を出た。
「ね~時雨!!番号教えといてよ」
帰り道、涙が口を開いた。
「モチ!」
「あっ!渉君も教えといてよ!」
「いいけど…」
「やった★」
涙は嬉しそうにほほ笑んだ。
(もしかして、涙って渉のこと好き!?)
そんな思いを馳せて各自家路についた。
「ただいま~!ママー??帰ってないのー?」
「おかえりー」
そう言ってあたしを出迎えたのは
アイスをくわえた悠ちゃんだった。
「え…何してんの!?」
「いや、おかんがさー西瓜持ってけ
つーからさぁ~、来たら留守番頼まれちまった」
「ふーん。じゃ、もー帰っていーよ」
「なんだよーせっかくこれ持ってきて
やったのにさー」
そう言って悠ちゃんはテーブルを指差した。