そよ風の妖精

そんなこんなで、あれから
一時間、やっと山のように
積み重なったプリントを
終わらせ、教室を出た。

「ね~時雨!!番号教えといてよ」

帰り道、涙が口を開いた。

「モチ!」

「あっ!渉君も教えといてよ!」

「いいけど…」

「やった★」

涙は嬉しそうにほほ笑んだ。

(もしかして、涙って渉のこと好き!?)
そんな思いを馳せて各自家路についた。

「ただいま~!ママー??帰ってないのー?」

「おかえりー」

そう言ってあたしを出迎えたのは
アイスをくわえた悠ちゃんだった。

「え…何してんの!?」

「いや、おかんがさー西瓜持ってけ
つーからさぁ~、来たら留守番頼まれちまった」

「ふーん。じゃ、もー帰っていーよ」

「なんだよーせっかくこれ持ってきて
やったのにさー」

そう言って悠ちゃんはテーブルを指差した。

< 21 / 24 >

この作品をシェア

pagetop