そよ風の妖精
翔ちゃんは信号を無視してやってきた
トラックにはねられた。
そのあとのことはよくわからなかった。
すぐにお母さんたちが駆けつけ、
救急車やパトカーが5分もしないうちに
駆けつけ、翔ちゃんは行ってしまった。
周りの人は気分が悪くなったのか
吐いていたり、目を伏せたりしていた。
それだけ無残な光景だったのだ。
それは幼かったあたしの心に
今もなお焼き付いている。
あたし達家族は自分たちの車で
翔ちゃんの運ばれた病院に向かった。
あたしたちが着いた頃には
翔ちゃんの体はすでに冷たくなっていて、
顔には白い布がかぶされていた。
みんな、泣いていた。
あたしの眼から、1粒の水滴が零れ落ちた。
次の日には翔ちゃんのお葬式が行われた。
誰もが涙を流していた。
あの時の光景は今でも忘れない。
泣き叫ぶおばさんとおじさん。
立ち尽くす、あたしと悠ちゃん。
静かに泣くあたしのパパとママ。
ねぇ?泣いてるよ?翔ちゃん。
みんな泣いてるよ?
翔ちゃん…
ねぇ?翔ちゃん何か喋って?
なぐさめてよ!ねぇ目を覚ましてよ!!